機能復元

走らせる事はできませんが、運転操作については様々な機能を復元できました。

機能復元成果

2009年8月から始まった外観の修復作業を進める中で会員から例え動かなくても運転に係わる機能も復元したいと言う要望に応え、修復作業の合間をみて、少しづつ復元作業も始めました。分解掃除を自動連結器から始めました。以下に機能復元出来たリストを示します。

整備活動ビデオ 


ブレーキ操作には圧縮空気(以下エアーと呼びます)を使います。ブレーキ関連の圧力計は運転席右前のボイラ手前にあるこの2つです。右が入力系で、左が出力系になります。それぞれには黒と赤の針があり、独立して動きます。

右圧力計の赤い針は空気圧縮機で作り,タンクに溜めたエアーの圧力を示しています。見難いですが、目盛りの赤くなっている場所が基準値で6〜8kg/cm2(当時の単位、約0.6〜0.8MPa)です。また黒い針はメータの手前に見えるブレーキ弁座の中にある補助タンクの圧力で、基準値は約5kg/cm2です。しかし、動画上では赤い針が示す大元の圧力が低いため、黒い針もそれ以下になります。

左圧力計の赤い針は機関車のみ、黒い針は連結した他の車両用です。ブレーキ弁は2種あり、単独ブレーキ弁は機関車専用、自動ブレーキ弁は全車両共用です。単独ブレーキ弁はエアーを加えるとブレーキが掛かります。本動画では単独ブレーキ弁のみの操作なので赤い針のみが動作しています。

動画中の音声で"こめる”は空気を与えてブレーキをかける事、”はらう”は空気を抜くと言う専門用語だそうです。(2015/4/12)  



制輪子は車輪と接してブレーキをかける板のことです。車輪内側の間にあるブレーキシリンダに空気圧を加えるとテコが動作して制輪子を車輪に押付け、ブレーキがかかる仕組みになっています。(2015/4/12)  



運転席の正面にある回転レバーを逆転器と呼びます。逆転器は自動車で言う、変速機と同じです。強いて違いを挙げれば前後共に無段変速でLowからHigh迄変化します。前Low--前High--ニュートラル--後High--後Lowの並びになっています。出発時は予め右回りに最大の前Lowの位置まで回してから始動し、速度に応じて漸次Highに戻します。

逆転器の操作すると、動画の中央上に見えるL形のテコが動き、左側の水平棒を右上や右下に傾かせます。中央左の円弧の板は下部が動輪の動きに連動しており、白丸に見える部分を中心に前後に揺れます。円弧に板が揺れると左の棒は突起が出でいて円弧の板に動きに合わせて前後に揺すられます。

水平の棒が右下に傾くと前進、右上に傾くと後進に切替ります。またそれぞれの方向に大きく傾くとLow側でゆっくりと多くの蒸気を送り、小さく傾くとHigh側で小まめに少量送ります。(2014/12)  



自動ブレーキ弁と圧力計の動作試験(未完)(2014/12)  
  
(注意 90度回転)  

北海道等の寒冷地では霜や雪が付着し、前方が見えなくなるのを防ぐため旋回窓を付けていました。なおトンネル内等での氷柱による窓割れ防止のために鉄棒のネットも付いています。  



本来汽笛は蒸気を使って吹鳴します。高い圧力で遠く迄聞こえることで、安全面だけでなく沿線地域の時計代わりとして役立っていました。しかし現状では蒸気は作れないので圧縮空気を使って汽笛を鳴らします。  


 

昭和以降に設計されたSLには動力(空気圧)で煙室の蓋が開閉する機能が付いています。これは投炭作業の負担を軽減するために設けられています。機関助手は左足先で操作します。閉まる時に鉄の蓋がぶつかりガーンと大きな音が出るため驚く幼児がいます。