蒸気機関車は中心がボイラーだけで周囲にほぼ全ての機器を取付けているため、運転関連機器以外は周囲を見渡すだけで機関車が分かります。
機器をただ並んだ順に説明するのでは関係が分からないので、燃料、蒸気系統、圧縮空気系統及び運転操作に分けて説明します。
保存機関車にはその番号が数字だけのものと英字と数字が並んだものがあります。日本に最初に機関車が輸入された時から長い間、機関車の種類とその何台目か区別するための号機は数字だけで表記されていました。開業時に本線を走った機関車は150型と言い、1号機は150、2号機が151と割り振られました。
しかし、大正時代になると機関車の種類も増え、且つ1車種で100両以上製造する型式も現れました。そのため、型式と号機の割振りが複雑になってしまいました。例えば8620型と言う大正時代の国産機関車では86と言う型式識別を残し、且つ20以上の号機番号を割り振るために8699号機の次は新たに先頭に1桁付けて18620号機となってしまいました。
そこで昭和3年から製造する機関車には型式の先頭にAを1、Bを2・・・と英字で動輪の数を示し、次の2桁の数字で型式を示し、その後に続く数値で号機を示すように変更されました。また、型式の数値はテンダー付き機関車は50以上、タンク機関車は10~49を割当てました。
D52型はDが示す4輪の動輪を持った、50から3種目の型式機関車と言う事が分かります。
用途により分けられています。速度が速い旅客列車用と力の強い貨物用です。テンダー機関車は水と石炭を多く積める事から長距離走行用です。炭水車が無く、機関車自体に搭載するタンク形機関車は、短距離路線や駅構内での貨車や客車の編成換えに使われていました。
生成した蒸気はボイラー中央上のドーム(突起部)後方から取出します。取り出した蒸気は3方向に分かれます。
走行用蒸気は取出した後、更に過熱して、水分を減らします。その後シリンダーへ送ります。
汽笛はドームの横に装着しています。通常の環境では聞いたことのない大音響を発することから傍で聞いた児童が泣き出すことが多い。団塊以上世代では寝床で遠くに聞こえる物哀しい長音に郷愁を覚えた方も多いのではないでしょうか。列車の少ない地方では時計代わりになっていたりしました。日本では蒸気機関車以外で大音量を出さないですが、無人踏切の残っているアメリカやカナダでは他の機関車でも相当する音量を要求され、いまだに遠くから聞くことができます。汽笛は時代により、大きくは3種に分けられます。明治期は単音で、ピー(pi-)という高音、大正前後は3音階で、ボー(po-)という中音、昭和になると5音階になり、ボー(bo-)の低音と鳴ります。鳴らし方は笛と同じなので、強さや、吹く量などで同じ汽笛も音階,音量や擦れ音などで違って聞こえる事が多い。
後方へ行き運転室内のボイラー筒端の分配箱に入り各種用途に振り分けます。
もう一つ、安全に必要なものを忘れる処でした。それが安全弁です。ドームの後ろにある2本並んだ真鍮製の棒状の物です。蒸気機関車にとって最も安全に注意しなければならないのがボイラーの管理です。蒸気圧が高くなり過ぎると爆発する危険があるため、2本設置が義務付けられています。駅等でここから蒸気が吹き出ているのを見た方も多いと思います。出発前や上り坂の前には蒸気を多く準備する必要があるので水や石炭を多く投入します。すると規定の圧力を超えて安全弁が鳴き出す事になります。二本は作動する圧力が異なるので、二本共噴出している場合は焚き過ぎで、不慣れな作業といえます。